高度な配信ベータが登場
あなたがTwitchで配信を行うストリーマーなら、トランスコードという言葉を聞いたことがあるかもしれません。聞いたことがない方のために、それが何なのか、それがどうして重要なのかについて、簡単にご説明します。
トランスコードとは、Twitchが視聴者の回線帯域に合わせた解像度で映像を提供できるように、あなたのビデオを異なる解像度に変換するプロセスのことです。ネットワーク接続の違いにかかわらず、あなたの配信を視聴する視聴者すべてがバッファリング無しで配信を楽しむためには、複数のトランスコードを用意することが不可欠になります。
トランスコードを作成する際には、1)あなたが映像を保存して配信するために使用するコーデック(テクノロジーなど)、2)トランスコード生成にかかる時間、3)あなたがトランスコード生成のために使用しているPCの処理能力の3つの要素が重要になります。究極的には、これら3つの要素によって、あなたがビデオを保存するために受け取るビデオ品質のビット数が決まります。処理能力が高いPCを使っている場合には、同じ時間で圧縮率の高い動画を生成できます。同様に、ビデオの表示に最新のコーデックを使っているなら、同じビット数でもビデオ品質が向上します。
Twitchはすべてのストリーマーにトランスコードを提供していますが、過去においてはそれが保証されているのはパートナーのみでした。現在は、トランスコード処理のすべてが、Twitchサーバーの「クラウド上」で行われています。さらに、これらのトランスコードは往々にして、数年前に取得した古いプロセッサで生成されています。トランスコード処理は負荷が大きいので、Twitchが日々取り扱う配信の数の多さを考慮すると、すべてのストリーマーにトランスコードを保証することはできません。私たちはライブサービスであることから、配信の遅延を軽減するために、これらのトランスコードは素早く生成する必要があります。帯域幅が大きなインターネット接続を利用している視聴者にはトランスコードは必要ないかもしれませんが、モバイルや帯域が制限された環境で視聴している視聴者に高品質な視聴体験を提供するためには、トランスコードが不可欠になります。
ストリーマーの規模の違いを問わず、トランスコードは視聴者にとって重要な要素であり、私たちは常に100%のTwitchストリーマーにトランスコードを提供しようと努めてきました。だからこそ、NVIDIAおよびOBSと協力して、OBSへの高度な配信の導入を発表できたことを嬉しく思います。高度な配信はストリーマーに2つの重要な機能を提供します。1つ目に、GPUのエンコーダー専用リソースを使って、あなたの配信の複数のエンコーディングを生成します。複数のエンコードを利用すると、配信デバイスで複数の解像度のビデオエンコードが可能になります。NVIDIA GeForce RTX GPUの専用エンコーダーを利用することで、ストリーミング体験には影響を与えることなく、あらゆる解像度で遅延の少ない高品質な配信が可能になります。2つ目に、PCの処理能力とアップロード帯域に応じて設定が最適化される自動設定オプションがOBSで利用可能になります。自動設定を利用することで、OBSで自分の環境に合った設定を見つける負担が軽減され、オフラインで試行錯誤しながらビットレートなどの技術的な設定を試す必要がなくなります。これを有効化することで、コミュニティのために優れた体験を作り出す適切な設定を利用できていると確信を持つことができます。
クローズドベータに参加
このTwitch独自のベータ版のOBSをテストすることが可能です。私たちはOBSチームと協力して、これらのアップデートを次のメインラインリリースに含めたいと考えています。それまでの間、これらの機能のテストにご協力いただけるなら、クリエイターダッシュボードの配信ツールページからベータに登録してください。今週中に段階的にベータへの参加者を募集していきます。
誤解のないようにお伝えしておきますが、今後も必要に応じてサーバーによるトランスコードの提供は続けます。このベータに参加すると、この新たなテクノロジーをストリーマーとしていち早く試してみることが可能になり、配信品質が向上してリーチが拡大するメリットが得られます。
今後の予定
このベータによって、ストリーマーの選択肢が拡大する以外にも、新たなコーデックへの対応やHEVC、AV1のテストなど、将来の改善に向けた道筋が開かれます。AV1は次世代ビデオエンコーディング技術であり、現在のAVCスタンダードよりも40%効率が高く、ビジュアル品質が向上して必要帯域が低下します。本日、NVIDIAがCESで発表を行ったとおり、私たちは彼らと協力してTwitchにAV1を導入します。現時点では、この機能はNVIDIA GeForce RTX 40シリーズのGPUのみで利用可能となっており、ここで説明したOBS Studioの機能を利用します。最後になりますが、私たちはVeovera Software Organizationの運営委員会のメンバーとして、今後数か月以内にEnhanced RTMP Multitrack Feature仕様を全ライブ配信エコシステムで利用可能にする業界のコラボレーションを推進します。
システム要件の詳細およびよくある質問については、こちらのヘルプ記事をご覧ください。
CEO、Dan Clancy